About "OBI" Cedar
飫肥杉について
薄いオレンジのエリアが日南市。旧飫肥藩は北に隣接する宮崎市の南半分までで、
その藩庁であった飫肥城跡は飫肥杉発祥の地と呼ばれている
飫肥杉とは
九州の南東部、宮崎県日南市に「飫肥林業地域」と呼ばれるエリアがあります。
ここは江戸時代の旧飫肥藩にあたり、飫肥杉の名もその藩名に由来しています。
飫肥杉、というのは樹種の名前ではなく、このエリアで育つ18品種のスギの総称です。
太平洋側に長い海岸線を持つ宮崎県の気候は赤道から流れる黒潮に強く影響されており、年間を通して気温は高く、夏には多雨となる環境。同じスギでも暖かいエリアで育つほどその成長は速く、そして木質は軽く柔らかくなります。飫肥杉がショックを受け流すように柔軟性があり、温熱性能や加工性に特に優れるのはこれが理由です。
現地のスギはその個体差を一定にするため、種子ではなく挿し木を苗として植林することで、その優れた性能を安定生産・供給しています。宮崎県産材のスギはそのほとんどが飫肥林業地域から発祥したもので、飫肥のブランドを冠するエリアでなくとも非常に近いものであると言えます。実は宮崎県、スギの生産量は国内ナンバーワン。そのログは最上等級品を国内市場、それ以外を海外へと振り分けられています。
腐食、シロアリ、ダニにもつよい
飫肥杉ならではの特徴として、それぞれの木が持つ油分が群を抜いて多いという点が挙げられます。
これは古くから肌感で評価されてきたことでしたが、近年になり地図上の「木材利用技術センター」にて、その油分の計測と分析が行われました。
全国から集められたスギの心材サンプル164検体のうち、飫肥杉のそれは44検体。本州〜近畿までのスギから抽出された油分がエリアごとに質量の1.87〜3.27%だったのに対し、飫肥杉では平均値4.46%をマーク。これが土壌由来なのか、その他の環境由来なのかはまだはっきりわかっていません。
また油分の内容について、有名なセドロールをはじめ17種類の成分を特定。それぞれに抗菌、殺蟻、抗ダニなど効果が異なりますがこれら全てをまんべんなく含有したのは飫肥杉だけでした。これらのデータを合わせると、単に「油分が多い」だけではなく、それが木材の耐候性に有効なものであったということがわかってきます。
日南市の面する海。水温は冬でも関東(相模湾比)より5℃ほど高く、温暖な気候と多雨、多湿をもたらす
南国のフルーツ、宮崎マンゴーはあまりにも有名。
木材利用の歴史
先述した粘りのある柔軟性、そして油分含有量および耐腐食性の強さから、飫肥杉は造船用木材としての歴史を持っています。これは「弁甲材」の名で知られており、その性能の高さは古くから評価されてきたのだと知ることができます。
現在では写真にあるような大きな弧を描く曲げ加工に生かされたり、また圧縮や曲げ、引っ張りなどの強度解析がデータ化されたことで他樹種と組み合わせ、お互いの長所を生かし合う形で建物の構造材としても活躍しています。
柔軟性、柔らかさのことを「ヤング係数」という数値で表しますが、この数値が低いことはショック耐性が強いこと、そしてウッドデッキなどといった生活のシーンでは荷重に対するクッション性として、その魅力を発揮してくれます。
雨風をまともに受けるウッドデッキですから、やはり腐食につよい木を選びたくなります。密度、硬度ともに非常に高い木材を使うアイデアもありますが、硬い歩行感や夏場・冬場の極端な表面温度など、適さないシーンが増えてきます。
飫肥杉のように柔らかく、温熱性能が穏やかな針葉樹は理想的ですが、では耐候性能は大丈夫か?
それに対しては、研究センターの各種試験によって飫肥杉がカナダ産のレッドシダーをも上回る性能であることが確認されており、次頁にてその一部をご紹介します。
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